2011年4月30日土曜日

白いカーペット
   
  
そんな訳で昨日新宿御苑に出掛けたときのこと。
苑内では家族連れがお弁当を広げたりして、まさに都会の憩いの場といった風情だった。
そんな人が多い場所から母と子の森という場所に足をのばしてみた。
  
ここは新宿御苑のなかでも好きな場所のひとつだ。
コナラ、クヌギなどドングリになる木がたくさんあって、秋にはドングリ拾いが楽しい。

プラタナス、イチョウ、ヒマラヤスギなどの大木も多くて、適度な木陰ができている。
その大木の足元にあたかも白いカーペットのようにたくさんの花が咲いていた。

これは ホソバオオアマナ Ornithogalum tenuifolium というユリ科の花。
別名ベツレヘムの星といって、薬草としても使われるらしい。
   

ユリ科なので、花びらが6枚・・・ではなくて、正確にはガクにあたる外花被が3枚、花びらにあたる内花被が3枚だ。

花びらとガクの見分けがつきにくいときにこうやって花被(かひ)といっているわけだ。

母と子の森の端にはラクウショウ Taxodium distichum がかたまって育っている場所があるのだけど、そのラクウショウの足元にもびっしりとホソバオオアマナが咲いていた。

ラクウショウは呼吸根といって、湿地で呼吸するための根を地上に潜水艦の潜望鏡のようにポコッ、ポコッと出しているが、それと白い花がなんとも不思議な風景をつくり出していた。


なんと申しましょうか、中国の水墨画にあるような先の尖った山々が雲海から頭を出しているかのような。
ともあれ、なんとも非日常的な眺めだ。
   
そうそう、去年の春に小石川植物園に出かけたときにこのホソバオオアマナが一面に咲いていたっけ。
そうだ、ハンカチノキも満開だった。

去年の春は小石川植物園に出掛けて、今年の春は新宿御苑に出掛けたということか。
毎年、性懲りもなく同じようなことをしてるんだなぁ。

このホソバオオアマナももう間もなく見れなくなると思うので、一面に広がるさまを見たい方は小石川植物園か新宿御苑に急ぐべし。


2011年4月29日金曜日

今が旬のハンカチノキ


昨日書いたように、今日は新宿御苑に出かけてきた。
無料開放+晴天+ゴールデンウィーク ということでなかなかの賑わいだった。

新宿門のすぐ近くにハンカチノキはある。
人だかりのため遠目にもそれとすぐ分かる。

ハンカチノキはそれほど珍しくはないといっても、日常的にあちこちで見かけるものではないので遠路はるばるやってきた人もいるのだろう。
皆真剣なまなざしでカメラを向けていた。
無論、花咲ジジイもその一人である。


ハンカチノキ Davidia involucrata は、白い大小2枚の総苞(そうほう)があたかもハンカチのようなのでついた名前だといわれている。
確かに、木から白いハンカチが沢山ぶらさがっているように見える。
    
余談だけど、ハンカチってのは都会的な表現という気がする。
昔、ハンケチといってえらく笑われた記憶がある。
まぁもともとは handkerchief というわけで、ハンカチだろうがハンケチだろうがイギリス人には通じないと思うけど。

閑話休題。


さすがに満開のハンカチノキだけあって、ハンカチがたわわになっていた。
白い2枚の総苞というのは、もともと花びらなんかではなくて、葉が変化したものと考えられている。
今咲いているハナミズキなんかもそうだ。

総苞に守られるようにして、小さくて丸い雄しべと雌しべのかたまりが真ん中に見える。
雌しべはひとつ。
雄しべがたくさん。


雄しべが役目を終えて幾つか落ちてしまったものがあったのでそれをみると構造が良く分かるだろう。
      

あとユニークだなぁと思ったのは葉っぱ である。
まだ芽吹いてそれほど経っていない若葉なのでとても柔らかい。
葉の付け根のあたりは切れ込みが入って、それが絶妙に重なっているのが分かるだろうか。
さらに葉の裏はかなり白っぽい色をしていて、葉脈がくっきりと盛り上がっているのがなんとも特徴的だ。


ハンカチのような花が散ってしまうと、何の木なのか分かりにくいと思うが、花の咲いている今こそ一見の価値があると思う。
おそらくGW中は咲いていると思うので新宿御苑に行ってみてはどうだろうか。
他にも小石川植物園でも見れるはずである。



2011年4月28日木曜日

庭の日、緑の日


早いもので4月も大詰めだ。
明日からゴールデンなウィークに突入される方も多いだろう。

今日は4月28日。

28日をゴロ良く 庭の日 としているのは、日本造園組合連合会(造園連)である。
そりゃ造園連の方々からすれば28日=庭の日ははずせないところだろう。
そんなポスターを電車の中で見た。

電車を降りて改札を抜けるときには、全く別の「庭の日」を見つけた。
これはGardenというパチンコ屋さん の宣伝である。
Gardenという名前であればやはり28日=庭の日ははずせないだろう。



というわけで庭は人気があると無理矢理こじつける次第。

連休初日の明日29日は東京の庭ともいえる、新宿御苑が「みどりフェスタ」と称して無料開放される。
天気も良さそうなので花咲ジジイも是非サイクリングがてら出掛けてみようと思っている。

新宿御苑のHPによれば、現在ハンカチノキ Davidia involucrata が見ごろらしい。
一年の今の時期しか咲かない旬なハンカチノキを見たい人は是非とも新宿御苑に出かけるべし。

そうそう、話の流れからすると明日はみどりの日ではないかと思うかもしれないが、どっこい明日は昭和の日である。
みどりの日は5月4日なので騙されてはいけない。

2011年4月27日水曜日

美しき一筋の光


都内のビルの谷間をぼんやり歩いていた。
ビルの谷間のためか昼間だというのにあまり日が差し込まない。


何気なく目をやった花壇(植え込み)がなにやらキラキラと光っていた。
海であれば波頭輝くさまと似ている。

植え込みにあるのはオオムラサキツツジサツキという、ありふれた植栽だったのだがなぜか息をのむほど美しかった。
レンブラントの絵画のようといえば大袈裟だろうか。

何でだ??

なぜと言えばそこにだけ光がさしていたからだ。
でも、太陽の光とは雰囲気が違う。

光源をたどってみると、それは大きなビルの窓ガラスに太陽の光が反射したものだった。
それが日陰のなかのツツジたちを浮き上がらせてかくも幻想的な美しさを醸していたのだ。


カメラ撮影でレフ板を使うと良いですよ なんてことをよく聞くが、そのことがとても良く理解できる出来事だった。
都会でも美しい情景というのはあるものだ。


2011年4月26日火曜日

絶句のクスノキ


ここは奈良。
唐突であるが奈良である。

東京に住む花咲ジジイは中学時代、修学旅行で京都、奈良に行ったことがあるのだが、奈良はそれ以来である。

換言するなら奈良ビギナーである。

行ってビックリした。
街全体が世界遺産というか、巨木がひしめいているのだ。
当然神社仏閣や仏像に関心がある人にとっても胸躍ることだと思う。

なんで中学生のときにもっと関心をもって見なかったのかと後悔することしきりであるが、当時は先生の目を盗んでいかに悪さをするかばかりがもっぱらの関心事だったのでいたしかたあるまい。

今の立場で改めて見た奈良は宝の山だった。
そのあたりは機会があればゆっくりご紹介したいと思う。

まずド肝を抜かれたのがこのクスノキだった。

なんだなんだこのデカさは!!

写真の左隅にいる人間とのサイズの差に注目していただきたい。

今までで大きなクスノキといえば明治神宮の御神木クスノキが記憶に残るが、それをはるかに凌ぐスケールである。

近づいてみる。

すると立て看板があって、このクスノキを説明してあった。

樹高23.5メートル
幹周4.83メートル
遠くから見ると一本の巨樹のように見えるが、実際は三本のクスノキであり、樹齢は約100年とされる。
明治41年に奈良県で行われた陸軍の大演習に際して、飛火野で催された饗宴に明治天皇が臨席され、その玉座跡に記念植樹されたのがこの樹である。

スゴイ。
スゴすぎる。
樹高23.5メートル、幹周4.83メートル というサイズ。

3本のクスノキというあたりが、ちょっと残念といえば残念だが、やはり言葉を失うスケール感である。

大きい樹、古い樹、にはえもいわれぬパワーが満ちていて無条件にひれ伏しちゃうなぁ。


2011年4月25日月曜日

ステキな原っぱ
 

春爛漫、百花繚乱、心ウキウキ

花壇を見れば、よそゆき顔の花たちがすましている。
それも悪くはない。
悪くはないんだが、個人的に魅かれるのは野生っぽい、人の手があまり加わっていないような風景だ。

例えるなら昭和の人たちには心当たりがあると思うが、学校から帰って友達と遊んだ原っぱ のようなイメージといえば良いだろうか。
そのころは花なんかには興味はなかったので、正直言ってイメージだけでモノを申し上げて申し訳ない。

タンポポスギナハコベナズナハルジョンオオイヌノフグリカラスノエンドウ・・・・

そういった 「雑草」 と一言で片付けられてしまうような草花が実はとても魅力がある気がする。

このまえ見た原っぱでは春の日差しに照らされて、色んな草花たちがキラキラと輝いていた。
どれも背丈(草丈)が低いので、その気になって見ないと見過ごしてしまう。


そこには色々あったのだけど、目に付いたのは青いムスカリ Musucari と紫色のヒメオドリコソウ Lamiun purpureum だった。

地中海地方原産のムスカリは自生しているとは考えられず、誰かが球根を植えたのだろう。
ヒメオドリコソウとてヨーロッパ原産といわれているので日本固有のものではないが、それでも花壇の中の花とは趣がちょっと異なる。

歩く速度を緩めること腰を曲げてかがむこと立ち止まって上・下・右・左・前・後をキョロキョロすること、といったことから見えてくる景色が違うはずだ。

ちょっと散歩に出掛けるだけで、このブログに書きたいことが山ほど見つかって困っている次第である。

2011年4月24日日曜日

庭づくり


この前、ある方の お庭づくり をさせていただいた。
新築のお宅のお庭と玄関まわりの植栽などをご相談いただいたのだ。

一番の難題は、大谷石だった。

このお宅を建てる際、基礎を事情があって掘りさげたらしいのだが、土地を支えている大谷石の壁の基礎の一部が庭側に飛び出てしまったとのこと。


施工前の写真を見ても分かりづいらかもしれないが、大きな大谷石のアゴが壁沿いにいくつも顔をだしている。
基礎だけに壊したりもできず、大谷石を活かした庭造りを考えなくてはならない。

思案した結果、家の窓からデッキをつくり、大谷石をデッキの基礎として一部利用することを考えた。

さらに他の箇所の大谷石はそのまま花壇のなかに取り込んでしまおうというプランをたてた。

小さいお子さんがいらっしゃるので落下防止、そしてプライバシー確保のためにウッドフェンスもつくった。
フェンスの隙間は計算して、ほどよいがさし、風が抜けるようにした。


デッキと花壇を一体化させて、デッキから手を伸ばせばすぐに花たちに触れられるようにした。
デッキに座って手を伸ばしてハーブの香りなどを楽しんだりするご家族の姿をイメージした。

工事期間中は幸いに天気に恵まれ、肉体労働にいそしんだ。
施工には我が師匠である親方が力を貸してくれた。

ほどよい疲労と筋肉痛で毎晩ビールが美味しかったなぁ。

完成した庭に腰掛けてみると、ほどよい日差しと木陰が気持ちよく、御施主様にも大変よろこんでいただくことができた。

これからこのお庭がどのように成長していくのかとても楽しみである。




2011年4月23日土曜日

花をかざるうえでの注意点


花を一輪かざるだけで気持ちがアガるよ と花咲ジジイが提唱しているプチ・ボヌール運動(小さなシアワセ運動)

花咲ジジイもこれを実践しているのだが、今更ながらひとつ大変重要なことに気付いた。

結論を先に言ってしまおう。

枯れた花はかざってはいけない
という当たり前といえば当たり前のこと。

ご覧のスターチスは花咲ブログの4月2日あたりに登場したものである。
スターチスはドライフラワーなどにもするように、見た目的に長持ちする。

長持ちするのを良いことにズッとこれを飾っていた。

茎の辺りをご覧いただきたい。

もう茶色く変色してきているのが分かるだろうか。

プチ・ボヌール運動において気持ちがアガるのは花が元気であるからかもしれない。
逆に花が枯れたりしてきて、生気がなくなってくるとこちらの元気も段々なくなってくる気がする。
大切なルールとして 新鮮な花を飾り、こまめに入替えるべし ということがいえるだろう。

だからこそ、一輪100円程度の花にしましょう と言っているわけである。

花が痛んできて、捨てるときも心が痛まない範囲のもので、ちょくちょく新鮮なものと入替えるとヨロシイというのが実感である。

こうやって茶色くなった茎の花をいつまでも飾っておくと本当に元気が奪われる気がするのは不思議なことだけど本当だよ。


2011年4月22日金曜日

ケヤキ最終章


ケヤキについて気付いたことを幾つか書いてきた。

ひとたび足を止めて花や木などに見入ると色んな発見があって止まらなくなるのは悪いクセだ。

特に人と待ち合わせしていて時間がないときなんかに 「!!!」 と何かが目に飛び込んでくると
、もう心の中でエラい葛藤がある。
待ち合わせ場所に急ぐべきか、遅れてでも見るべきか。
小心者なのでたいていは 「後で戻ってきて見よう」 とその場を離れるが、後になると忘れてしまったり、そのときの情熱が失せていることなどがあって、結局見ないで終わることが多い。

植物との出会いも一期一会なのである。

さて、ケヤキについて話をもどそう。
今日はケヤキそのものの話ではなくて、ケヤキを見ていて気付いたことだ。

上のケヤキの若葉の写真を見てなにか気付かないだろうか?

そう、葉っぱがなにやら濡れているかのように光っているのだ。
でもその日は晴天。雨が降った形跡はない。
なんでだろう?

答えはケヤキの葉の裏にある。

 

葉の裏を見てみると、小さい虫が付いているのがわかる。

これはアブラムシだ。
アブラムシは卵のまま冬を越して春になると孵化し、羽の生えた雌のアブラムシが飛び出す。
風にのって飛んでいったアブラムシは着地した先で、子供たちをどんどん増やす。
このときのアブラムシは無声繁殖、つまり卵を産むのではなく、ベビー・アブラムシをどんどん量産する。
生まれたアブラムシは数日立つとさらにベビー・アブラムシを作り出し、倍倍ゲームのごとく増えていく。

なんともホラーな話ではないか。

アブラムシたちの口はストローのようになっていて、その先をブスッと植物の茎に刺して樹液を吸う。
吸って余った樹液を、アブラムシのお尻についている2本の煙突のような管からププププッと吐き出す。

大量のアブラムシがこのようなことをするので、人間からすると あら?雨かしら? というくらい樹液が降ってくる。
この樹液は甘くてベトベトする。 
それが葉っぱについたものが今日のケヤキの写真のようにキラキラ光る艶っぽいものの正体である。

それが証拠にケヤキの葉を裏返してみると、いましたアブラムシたちがウジャウジャと。
これはまだ序の口でまだまだもっと増える。

アブラムシなどの虫たちにとっては、老いて硬い葉っぱよりは、生まれたての若くて柔らかい葉っぱのほうが魅力的なのである。
なので、若葉は格好の標的になってしまう。

植物を観察するときは、離れて見るばかりではなく近寄って見るべきだ。
近くに寄って見るばかりではなく、葉の裏側を見るべきだ。

虫を見るけることもあるだろうし、葉の表面と裏側の色が違うことに驚くこともあるだろう。

「裏を見るべし」
これは花咲ジジイからの金言である。


2011年4月21日木曜日

川のある風景


実は今日もケヤキについて書くことがあった。

あったけど、さすがに連日ケヤキネタでグイグイいくのはいかがなものかと思って、話題をノンビリしたものに変えてみた。


この前、春の陽気に誘われて川沿いに歩いた。

カラッとした晴天でなんとも気持ちがよろしい。

水辺ってのはとてもリラックスできる。

川に目を向けると、川の中に春がギッシリと詰まっていた。

川といっても隅田川のように水を滔々とたたえている大きな川ってわけではなく、ところどころ中州のような地面が見える小さな川だ。


その中州に黄色の花紫色の花などがギッシリと咲いていたのだ。
黄色はナノハナであり、紫色はムラサキハナナである。

奇しくもともにアブラナ科の花である。

若葉が一斉に芽吹いて、花が咲き乱れ、ひばりが上空でさえずり、川のせせらぎが聞こえる・・・


平和を絵に描いたような春の川のある風景。
たまには川沿いの散歩もいいぞ。