2011年11月30日水曜日

むかご


オリヅルランの子株がもったいない、という昨日の話。

今日の話もちょっと似ている話。

むかごをご存知だろうか?

ヤマノイモなど御飯と一緒に炊き込む食材としてご存知の方も多いだろう。

むかごとは不定芽という芽から根や葉が出て新たな個体となるものをいう。

たとえばユリのムカゴは、葉腋といって茎の葉の付け根の部分にぷくっと丸いものが付くのがそうだ。

これが地上に落ちるとそこから根や葉が出るというものだ。



タネじゃないの?

いいえ、タネではないんです。

タネというのはオシベの花粉がメシベに渡って受精したのちに出来るもので、父親と母親の遺伝子が入っている。
いわばSEXの結果にできるもの。

対してムカゴは不定芽という芽の一種がこんなことをするわけで、別にSEXは関係なくできる。
両親の遺伝子に関係なく、その個体の一部からできるわけで、その個体のクローンだといえる。

実はこの話には伏線があって、昨日のオリヅルランの子株もSEXによってできるものではなく不定芽による繁殖なのだ。

一昨日書いた「ペアフルーツ」は接木という方法で増えているが、これも木と木と接いで新たな木をつくっているわけで、SEXの結果ではない。

このように植物界においてはタネのように両親に遺伝子を引き継いで新たな固体が生まれる繁殖方法と、クローンのように個体そのものの複製が生まれる繁殖方法がある。

床屋に行って散髪してもらった髪を持って帰って地面にまいたらその人のクローンが出来たなんて話は聞かない。
あったら怖いけど。

でも植物の世界にはそういうこともあるのだ。

すごいなぁ、植物って。


2011年11月29日火曜日

オリヅルラン


観葉植物好きならずともオリヅルラン Chlorophytum comosum は知っているだろう。

室内でも屋外でも、乾燥していても湿っていても、元気に育つ優れものである。

斑が入っているので、明るい印象も受けるし。

育てるのが簡単というのが良い。
放っておいてもまずまず大丈夫だ。

オリヅルランのユニークなところは花を咲かせるためにランナーという細長い茎を出すのだが、そのランナーの先に子株を付けることだ。

この子株をそのまま土に挿せば、新たなオリヅルランが増えるということになる。

この前とある花壇の手入れをしていて、こんもりと茂ったオリヅルランを剪定した。

そのときにゴミとして処分されそうになっていた子株を拾って写真を撮った。


子株を良く見ればすでに小さな根がついているのが分かる。
これは親株に付いていたときにはまだ中空にあったのでこの通りだが、これが地面に着くとたちまち根を伸ばしてその場に定着する。

地面に伸びる根は白い半透明なカンジの根で、みずみずしく太っている。

いかにも栄養分を溜め込んでいますよ、ってカンジがする。


ここまで育っているのに捨ててしまうのは忍びないが、全部を救っていたのではたちゆかなくなってしまうので心を鬼にして「ゴメンなさい」してしまう。

町の花屋さんでオリヅルランが一体幾らで売られているかなんてことも考えるとなおさらもったいない気がするがいたしかたあるまい。



2011年11月28日月曜日

2倍お得なペアフルーツ?


この前とあるガーデンセンターへ行ったときのこと。
苗を売っている場所を見ていたら面白いものを見つけた。
ペアフルーツ 1本で2種類の実がなります! だから省スペースで楽しさ2倍!!
とあった。
どうやらひとつの台木に2種類の穂木を接いでいるものらしい。


接木を行ったテープもまだ付いている。

ラベルのイラストではブドウ、モモ、ミカン、メロン、カキ、イチジクらしきものが描かれているが、ミカンとブドウが同じ木になることはない。

同じ科であることが最低条件であって、それでもいろいろと難しさはあると思う。

これを生産している農園のHPを覗いてみたところ組合せとしては
サクランボ黒 & サクランボ黄色 (バラ科)
スモモ & モモ (バラ科)
西洋プルーン & モモ (バラ科)
ウメ & スモモ (バラ科)
リンゴ富士 & リンゴ王林 (バラ科)
といったところで、奇しくもすべてバラ科の組合せであった。

余談だがトマトをポテト(ジャガイモ)の茎に接いだポマトなんてのも聞いたことがある。
トマトもジャガイモもナス科の植物だ。

さらにペアフルーツのラベルをひっくり返してみると・・・
*2つの品種を接木したフルーツ苗です
*1本で2つの味が楽しめる2倍お得な商品です
*2本植えるスペースがいらないので、ベランダ、プランターでもOKです
*ペアフルーツだから春先の花の咲分けも楽しめます
*誰も持っていないから注目の的です!
*永遠の愛を誓ってペアフルーツを結婚記念樹に

などと書いてあった。

前半の生産性、生産効率に関する部分は、確かにそうとも言えなくもないが、実際はそんなに簡単ではないのではないかと思う。種類が異なれば肥料や剪定など管理方法も異なる気がするし。
片方が生育旺盛で片方をいじめてしまうとか。

後半は純粋にオモシロイ。

誰も持っていないから注目の的、永遠の愛を誓って結婚記念樹に・・・・

生産者の方の知恵と工夫が見てとれる。

何年かして、バレンタインデーにチョコレートというノリで結婚記念日にペアフルーツを植樹するなんてことが全国的に定着していないと誰が断言できようか?

言ったもん、仕掛けたもん勝ちなのだと思う、たぶん。



2011年11月27日日曜日

謎の割り箸


ここは東京都中央区月島。

そう、もんじゃ焼きで有名な味わいのある町であります。

もちろんもんじゃ焼きを食べに行ったのだ。

よく食い、よく飲んで店を出たところにこの不思議なプランターがあった。

白い発砲スチロールのコンテナにカイヅカイブキのようなコニファーがヒョロリンと植えられていた。

そこまではありがちといえばありがちな風景だが、まったく不思議だったのが発泡スチロールの縁にズラーっと並べられた割り箸。

発泡スチロールの縁沿いに几帳面に割り箸が刺さって立っている。

これは一体何だ??

何かのおまじないか?信仰の一種か?
単に気紛れか?それとも遊びか?

ひょっとするとネコよけかもしれない。

でもネコなんてその気になればこんな割り箸バリケードなんていとも簡単に突破しそうだし。

考えれば考えるほど分からない割り箸の怪でありました。




2011年11月26日土曜日

犯人公開


昨日はテッポウムシというカミキリムシの幼虫が大木をも脅かすというような話を書いた。

昨日の写真を見ていただければ、その深刻さが分かっていただけると思う。

その日はケヤキの枯れ枝を取り除く作業をしていて、枝の中に空いた穴を見つけたのだが、日も暮れようかというころに、なにやらカサカサと動く黒いものを見つけた。

枯れ枝を集めて片付けようとした枝のなかから出てきたので、この穴を開けた張本人と何かしらの関係があるものと思われる。

カサカサと乾いた音を立てて薄暮の中を動くこの黒い物体こそカミキリムシに違いない。

卵でも産みつけようとしていたのだろうか?

薄暗くて写真もボケボケだが、恐らく間違いないだろう。

無駄な殺生は避けたいという主義だが、このときばかりは不思議な憎しみが沸々と沸き起こったのだった・・・。



2011年11月25日金曜日

悪さをするムシたち



ケヤキがたくさん植えてある場所にて。

ケヤキの枯れ枝を取り除く作業を行ったときのこと。

枯れ枝はそのまま放置しておくと風が吹いたときなどに折れて頭上から大きな枝が降ってくるので危険である。
そのため枯れ枝を処理するのは植木仕事をしているとままあることなのだ。

今の季節、ケヤキは葉を落とし始めているが、季節が進むことで落ちる葉とはまったく別に葉がスッカリ落ちてしまっているものがある。
それが枯れ枝である。

葉が付いているかというのは最も単純な見分け方だが、枝を折ってみてパキッと乾いた音とともに折れるようならばそれも枯れ枝である。
生気があってみずみずしい枝はなかなか折れないものだ。

で、枯れ枝を片っ端から剪定ノコで切り落としていくとある共通点が見えてきた。

枝の切り口を見ると枯れ枝の多くは、枝の真ん中に穴が開いていた。
もちろん全てではない。
でもかなりの確率でご覧のような穴が開いているのだ。


さらに枯れ枝をよくよく観察してみると、枝の側面に穴が開いている。
ポツンとひとつあいているものもあれば、おびただしい数の穴が開いているものもある。



これは テッポウムシ といって、カミキリムシの幼虫の棲んだ痕なのだ。
リコーダー(笛)のように開いた穴を開けてタマゴを産みつけ、そこでかえった幼虫がムシャムシャと枝の中を食害する。

樹木の栄養や水分を運ぶ管も寸断され、樹勢はみるみる衰えていく。
そして枝が枯れる。

悪くすると枝ばかりではなく、樹木そのものがダメになる。

見上げるような大木が小さなムシに倒されてしまうのだ。

食害された枝を割って中を見てみると、奴らが食べながら進んだ痕を見ることができた。


昨日のコガネムシの幼虫同様、早期に見つけることはなかなか難しいのだが、何事も早期発見、早期対処が必須なので、不断の観察がとても大切なのだ。







2011年11月24日木曜日

コガネムシ


土を掘り返していると色んなものと出会える。

雑草の根、不思議な色の石、ミミズ、ガラとよばれるようなガラクタなどなど。

最近良く見掛けるのがこのコガネムシの幼虫である。

男の子であれば一度は胸ときめかすものだと思う。
もっと胸がときめくのはカブトムシなんだろうが、カブトムシの幼虫はこんなもんではない。

もっともっと太くて大きい。

この一見かわいらしいコガネムシの幼虫が大問題を引き起こしているのである。


「ウチの××の木の調子が悪いんですが・・・」という相談を受けたとして、根に問題があるケースが多い。

根詰まりだったり、水はけが悪かったり、土が踏圧されてガチガチに締まっていたり。
そして原因の上位にくるのが、このコガネムシの幼虫による、根の食害である場合が多いのだ。

ええっこんなに小さいのにですか?

そりゃ一匹は小さいかもしれないが、やつらは最近温暖化、異常気象の影響もあって大発生しているのだ。

厄介なことに土の中のことなので、彼らの実数を把握することは難しいし、どの程度の活動をしているのかも分からない。
樹木などが具合が悪くなってはじめてコガネムシの存在を疑うわけで、それでは TOO LATE なのだ。

ベランダのプランターを入替えようとして、プランターを逆さにして土を全部出してみると、出てくるわ出てくるわゾロゾロとコガネムシの幼虫がごっそりと出てくるなんて経験のある人もいるだろう。

幼虫は根を食い荒らし、成虫は葉や花を食べたりする。
成虫よりも幼虫のほうが引き起こす問題は深刻だ。

温暖化も彼らが増えた要因だろうが、コガネムシなどを採って遊んだりする子供が減ったってこともコガネムシの天敵が減ったといういうことにもなって多少影響しているかもしれない。

子供たちよ、オウチでゲームをしている場合ではない、外で元気に遊ぼうよ。



2011年11月23日水曜日

ヘクソカズラの実


イチョウの実のクサイ話をした。

今日はヘクソカズラ Paederia scandens の実の話をしよう。

そもそもなんでヘクソカズラなんて名前がついているかといえば「屁や、糞のようにクサイから」と言われているが、全然そんなことはないと思う。
確かに独特なニオイはするが、決して屁や糞のようなニオイはしないと断言できる。

そんなこと言ったら、ギンナンの例の種皮のほうが、よっぽどそれに近い。

で、ヘクソカズラの話をするのは別にニオイフェチだってことではない。

ヘクソカズラはその名にそぐわずなかなかカワイイ花をつける。
そして独特なニオイが有名なのだが、じゃぁどんな実がなるのかを知っている人は案外少ないのではないだろうか。

ヘクソカズラの実は今まさになっている。

ご覧のようにまだ緑色をしている。

一粒手にとってみた。



まずニオイをチェックしたが特に何かが臭うわけではなかった。

次に皮をむいてみた。

すんなりと茶色い薄皮がむけて中から緑色のものが出てきた。
何やらグリーンピースのようだ。


その緑色のものは3つに割れた。
3つのものが薄皮でひとつに束ねられていたようなイメージである。

これがタネなのだろうか?
それとも、この中にタネが入っているのだろうか?

そこでその緑色のものを手のひらにのせて指先でつぶしてみた。


全体に柔らかくジューシーで、手のひらと指先が茶色になった。

中からは白いタネらしきものが出てきたが、指先でそれもつぶしてしまったのだろうか、それとももともとそんな感じのものだったのだろうか?

とにかくタネだ!と断言できるようなシロモノは見つからなかった。

おそらく成熟課程にあるので、もうちょっと季節が進んでこのジューシーな実が乾いたころに何かの発見があるのではないかと思う。

茶色くなった手のにおいを嗅いでみた。

ヘクソカズラのにおいがするのだろうか?
意外なことに特にヘクソカズラのにおいはしなかった。
青臭いにおいというか、青汁のようなにおいがした。

問題はこの茶色い汁。
家に帰って手を洗ったがあまり落ちない。
お風呂にはいったときにブラシでゴシゴシやったらば手のひらの汚れは落ちたけど、指先は茶色いままだった。

特に毒性があるとは思わないが、しばらく茶色い右手人指し指でありました。



2011年11月22日火曜日

ゴミ?宝?


とある4階建てビルの屋上にのぼった。

落葉が雨どいをふさいでいないかチェックし、そしてついでに落葉の掃除をするためだった。

案の定、屋上にはたくさんの落葉があった。
すべてケヤキの落葉だった。

用意したゴミ袋にどんどん詰めていくだけのことなのだが、僕にとってはケヤキの落葉は宝の山に見えた。

なぜって、ケヤキの落葉にタネがたくさんついているからだ。

これまでにも、このブログで何度か書いてきたが、ケヤキはタネを遠くへ飛ばすためにタネのついた枯れ枝ごと風にのせて飛ばす。

なので枯れ枝を注意深く見てみると小さなタネが付いているのが分かる。

これを解説しながら見せると子供はモチロンだけど、オトナも結構盛り上がるものだ。

今のこの時期にしか見ることができないので、僕はタッパーなどに入れて保管している。

そのタネ付きの枯れ枝を拾いに散歩のときなどにわざわざ容器をもってでかけることもあるのだ。

でも、このときは掃除のついでに状態の良いケヤキの枯れ枝が山ほどあったので、ゴミはゴミとして集めて、ある一定量は別の袋に入れて持ち帰ることにした。

同じ枯葉でも人によっては単なるゴミで、人によっては宝にもなるというオモシロイ話。



2011年11月21日月曜日

ナメたらいかんぜよイチョウの果肉


ギンナンについて書いてみたらば御堂筋さんからコメントを頂戴した。

『かつて 知人の叔母上がギンナン拾いをして顔が真っ赤にかぶれ 大変な事になった!と聞いた事があります。
お店で売られているギンナンは大丈夫だと思いますが秋にイチョウの木の下を通る時いつも緊張します。
どの様な状態のギンナンに触れるとそうなってしまうのでしょうか?教えて頂けたら 助かります。』

御堂筋さんコメント有難うございます。

僕も聞いたことがある、ギンナンでかぶれるという話。

さらには、食べすぎも鼻血が出たりするので要注意だと。

まず触ってかぶれるのはイチョウの種子の果肉部分だと思う。
昨日の写真のように黄色のぶよぶよした果肉のクサイ部分。

ここにはその名もイチオールという物質が含まれていて、これがかぶれを引き起こすらしい。

ちなみに、かぶれというとウルシが有名だが、ウルシかぶれを引き起こす物質はウルシオールというらしいので、シャレなんだか本気なんだか一瞬見紛う。

ウルシがウルシオール、イチョウがイチオール、ともにかぶれを引き起こす注意すべき物質である。

ギンナンは滋養強壮などの効果もあるようなので、強壮剤としてその昔から知られているチョコレート(カカオ)と似ていなくもない。
とにかくそういうパワーがついちゃうようなものはほどほどで留めておくのがヨロシイ。
チョコレートも食べ過ぎると鼻血が出るというのは良く知られていることだ。

都市伝説的なものかもしれないが・・・。

話が逸れたけど、御堂筋さん、イチョウの木の下を通るときは別に緊張しなくても大丈夫だと思いますよ。
素手でギンナン拾いをしなければ。

まぁ、あれだけクサイので素手でギンナン拾いをする猛者は少ないと思うけど。



2011年11月20日日曜日

裸のギンナン


秋真っ盛り
・・というか秋を十分に堪能しないまま、なんとなく冬に突入してしまった感がある。

でもまだなんとなくまだ秋のような、初冬のような、はたまた夏の名残があったりとなんともフクザツな様子である。

自転車で神社の前をスーッと通り過ぎたらば、ぽわーんとクサイ臭いに包まれた。

ギンナンのニオイだ。

なんで神様はギンナンのようなニオイを創ったのだろうか?
一体誰が喜ぶというのか?

普通は植物たちは鳥や小動物などに実を食べてもらうことで、タネをより遠くへ運ぶ、いわゆる種子散布の為に、赤い色をしていたり、美味しそうな香りを放ったりする。

しかし地面に落ちたギンナンを見てみていても拾っていくのはもっぱら人間ばかりで、鳥がギンナンを食べているのを見たことがない。
不思議だ。


クサイということに関しては異論がないが、案外嫌いなニオイではない。
たしかに臭いけど、それはイチョウの実の香りであって、何かの排泄物であったり、化学薬品のニオイでもない。
自然が創りしニオイなので悪いものではないと思うようにしている。
この前なんかはわざわざ拾って鼻先に近づけてクンクン嗅いでしまったほど。
うっ、くさっ とは思うけど、なぜか憎めない。

一昨日、イチイの赤い実をとりあげて裸子植物という話を書いた。

イチョウも胚珠が子房に守られずにむき出しになっている裸子植物である。

でもギンナンには果肉があって、中にタネがあってサ。
果肉の部分は子房じゃないの?

そんな声が聞こえてきそうだけど、果肉、タネという関係ではないのだ。

あれは種皮というもので、ギンナンの場合3種類の種皮がある。
一番外側のクサイ果肉部分も種皮、ギンナンの殻の固い部分も種皮、そして殻の内側にある茶色の薄皮も種皮なのである。

そして我々が茶碗蒸しに入れたりするオイシイ部分が種子なのだ。
まったくの蛇足だが、僕は小さい頃からギンナンが大嫌いで茶碗蒸しも口に含んでギンナンだけプッと吐き出す行儀のわるい子供だった。
しかし人間の嗜好というのは年齢とともに変わるようで、最近は進んで口にするようになった。

イチョウの葉には物忘れなどに効く成分なんかも含まれているようで、何かと話題も多く、何かと有益な植物である。



2011年11月19日土曜日

ガーベラ


誰でも知っているであろうガーベラ Gerbera

花屋さんでは切花としていつでも見掛けるし、最近はポット鉢のものも見るようになった。

花屋さんでは良く見掛けるが、近所の空き地でガーベラが咲き乱れていたというような光景は目にしない。
どうもアフリカ地方が原産の舶来モノらしい。

この前見かけたのは
「ガーベラはこんなに種類が豊富ですよ」
と示すようなボード。

大きさもマチマチ、色も赤、ピンク、黄色、白・・・とバラエティに富んでいるところが魅力なんだろう。

キク科であるガーベラはヒマワリ同様丸い形で、花らしい花で形的にも親しみがわく。

品種改良がどんどん進んでいるようで何種類あるか分からないが、気分によってその日に飾るガーベラをチョイスするなんてのもかなりステキなんではないだろうか。

今日のように天気が悪ければ明るいカンジのガーベラを飾るとかね。


2011年11月18日金曜日

裸の植物


赤い実が美味しそうだ。

これはイチイ Taxus cuspidata という。

イチョウほどあちこちで見掛けることはないが、でも注意して歩けば時々見掛ける。

刈り込みにも耐えるので、生垣としてもよく使われる。

特徴はなんといってもこの赤い実である。

美味しそうと冒頭で書いたように、食べられる。
ねっとりとした食感でほんのりと甘い。

しかしあまりオススメはしない。

なぜなら食べられるのは赤い果肉部分であって、中心のタネの部分には毒がある。
悪くすると心臓発作などを起こしかねないので、特にお子さんがいるご家庭では「食べられない」と認識していたほうが良いと思う。

他にも美味しいものはあるんだから、そっちを一生懸命食べたほうが賢いといえよう。

このイチイはマツなどとと同様、裸子植物というカテゴリーに属す。

でた! 久々の勉強チックなお話。

裸子植物というのは、胚珠が子房に覆われることなくむきだしになっているもの。
分かりにくいと思うので、花咲ブログ的に大胆な解釈をすると 「タネになる部分があらかじめ素っ裸でむきだしになっているもの」

タネ(種子)が裸でむき出しなので裸子植物というわけだ。

イチイの場合、赤い部分は仮種皮という部分で、その中にあるのが種子ということになる。

若い種子を見れば分かるが、種子はたしかにむきだしになっていて、まわりの仮種皮も薄くて緑色をしている。

熟すと仮種皮は赤く、種子は濃い茶色へと変わるのだ。

赤と緑ということでなにやらクリスマスチックではあるが、そんじゅそこらの植物とは異なるユニークな一面をもったやつらなのだ。

左は熟した種子 右はこれから熟す種子
仮種皮はまだ緑色だ 種子もむき出しである
これがウワサの有毒の種子


2011年11月17日木曜日

不死身のヤマモモ


今更なんなんだが、植物の再生力ってのはスゴイものである。

人間は指を切られたらそれでオシマイ、再びそこから指が生えてくるなんてことはない。

しかし植物たちは、切られた枝そのものは再生しないながらも、その傷をふさいで、その近辺から新たな枝を伸ばそうとする。

この前、ヤマモモという常緑樹をジッと見ていたら気付いたことがあった。

そのヤマモモの枝は何かしらの理由でノコギリなどによって切り落とされていたのだが、切り落とされた枝の周辺に限って若い芽が沢山吹いていたのである。

他の切り落とされていない枝にはそういった新たな芽を見つけることはできない。

明らかに切り落とされた枝を修復、再生しようという意図が見えてくるのだ。

これはどういう仕組みによるものなのかは、良く分からないが一説によるとホルモンの影響によると聞いたことがある。

枝を切り落とされるとその周辺に特殊なホルモンが作り出されて新たな芽吹きを促すのだと聞いたような気がする。
確かな話ではないが。

思えば植物の再生力というのはスゴイ。

挿し木なんてのも、若い芽を切ってそれを土に挿しておけば、根が付いて新たな植物体が育つということだ。
人間に置き換えて考えてみると、僕の人差し指を切って土に挿しておいたら、もう一人の僕ができるか?っていうとそんなことはありえないわけで、生命力の不思議を感じずにはいられない。



2011年11月16日水曜日

オシロイバナ


今日の話は男性よりも女性の方が共感してもらえるかもしれない。

今日は朝は冷たい風が吹いて寒く感じたが、もう11月も半ば過ぎなわけで、このくらいの気温が当たり前なのだろう。

紅葉が・・・・なんて話の横でオシロイバナがまだ花を咲かせていたりする。

僕の認識ではオシロイバナは夏の花、もしくはせいぜい初秋までってカンジなのだが、こうやって上着を羽織るような季節になってもまだ花を咲かせているというのは驚異である。

それでも彼らは少しずつスローダウンして今期の活動を終えようとしている様子が伺える。
それは黒い実が多く見かけられるようになってきたからだ。

この実を見て 「ああ、懐かしい・・・」 と思った方は多感なお年頃を古きよき昭和で過ごした方かもしれない。
多感なお年頃ってのは別にヘンな意味ではなくて、感受性の強い純真な子供時代ってこと。

この黒い実をグッと押さえるとパカッと割れて中から茶色くて丸いものが出てくる。

茶色いのは薄皮みたいなもんで、それをさらにガリッとつぶすと中から白い物体が現れる。

これが白い粉の塊なんである。

これをほぐすと手のひらには白い粉が広がる。

この白い粉を昔のお化粧品であるオシロイとして顔に塗ってお化粧ごっこをしたとか、しないとか、そんなことを聞いたことがある。

お化粧なので男の子でこれを使って遊んだ人は少ないと思うし、21世紀の現代でPSPとかDSとかスマホなんてのが全盛の昨今、こんな遊びをする子供もいないのではないかと思われて、多感な年頃を古きよき昭和で過ごした女性なんて書き方をしたのだ。

かく言う僕も今回初めて黒い実を手にとって中を見た次第だ。

粉のきめ細かさに、なんとなく胸が弾んだのは何故だろう?
まるで片栗粉のような感じだった。

化粧品や片栗粉といった「製品」でもない自然のものなのに、このきめ細かさはスゴイと単純に感動して胸が弾んだんだと思う。

その粉を顔にぬってみようとは思わなかったけどね。

グッと押すとパカッと裂ける

茶色い薄皮に包まれてアサガオの実のようだ

さらにグッと押すと中から白い粉が現れる

きめ細かい白い粉 実はこれは胚乳というもの
是非お試しあれ!