2012年6月7日木曜日

イタドリの恐怖



昨晩仕事をしていて、コーヒーが飲みたくなった。
キッチンでお湯を沸かしている間にちょっとだけテレビのスイッチを入れた。


すると画面では
「植物に家をのっとられた話」
といったかんじの海外の話題を取り上げていた。


申し上げているようにお湯を沸かす間に何気なく見ただけなので詳細はちょっと怪しいのだけど。


その話によればこういうことのようだった。


イギリス人のある家族が住宅を購入した。
ところが家の周りにはイタドリが繁茂していて、その勢いがすさまじくて床を突き破って家の中にまではびこる始末。
色々手を尽くしたがどうにも対処しようがなくて困り果てている・・・。


イタドリ Fallopia japonica をご存知か?
japonicaっていう学名からも日本原産ではないかと想像される。


このイタドリをなめてはいけない。
何でかというと、その繁殖力がハンパではなく、油断するとあっというまにイタドリだらけになる可能性がある。


彼らは地下茎を土中にはりめぐらせてそのテリトリーを広げていくので、地上に見える部分を幾ら刈ったところで根本的な解決にはならず、すぐにまた不死身のごとくよみがえってくるのだ。


この辺はこの前書いたミントもそうだし、ドクダミ、スギナ、タケ、ササ、ヒルガオなどなど厄介者の共通事項である。


イタドリの写真が手元にないか見ていたらば、たまたまケンブリッジ大学植物園に「植えられている」イタドリの写真があった。
男性の正面にある彼の背丈よりも高い植物がイタドリである。
ここは植物園なので、イタドリを知ってもらうため、あるいは植物コレクションとして「保有」しているのだ。


イギリスではイタドリのことを Japanese Knot Weed といって恐れている。


なんていったってコントロールが効かないのだ。


一説にはイギリスではイタドリによって道路の舗装が痛んだり、壁が押されて倒れたりといった被害額の合計が200億円を超えるのだという。


除草剤などはあまり効かない。
除草剤が効くのは地上部が主なので、地下茎を広くはりめぐらせているイタドリにとっては痛くも痒くもないのだ。


しかしイタドリがそんなに問題児なのに、日本ではそれほど騒がれないのは何故だろう?


答えは、イタドリの天敵が日本にいるからである。


イタドリの天敵とはイタドリマダラキジラミというカメムシみたいな虫で、イタドリから樹液を吸い上げて枯らしてしまう。


日本にはこのイタドリマダラキジラミが存在するので、イタドリが程よく抑制されて均衡を保っているのだ。


ところがイギリスにはこのイタドリマダラキジラミがいない。
となるとイタドリ天国である。


彼らは生長し放題、生長しまくるのだ。


イギリスでは深刻な社会問題となり、あの手この手でなんとかイタドリを駆逐しようとしたが効果がない。
苦肉の策として日本からイタドリマダラキジラミを輸入することを決めたのだ。


しかしコトはそんなに単純ではない。


イタドリマダラキジラミを入れたことで英国の他の生態系に影響が出ないのか?


そのあたりも英国政府は慎重に実験を繰り返して安全性を確認してイタドリマダラキジラミの輸入に踏み切ったのだという。


もともとは英国にない珍しい植物ということで日本からわざわざ持ち帰ったイタドリ。
持ち帰ったのはシーボルトであると昨日のテレビでは言っていたけど、その辺はちょっと疑問だけど・・・。


珍しいからといって自然に逆らうとこういう結末が待っていることもあるというお話。


昨日の青い花も自然にはない珍しさを追い求めた「ロマン」のある話ではあったが、どういう結末が将来待ち受けているのかは誰も知らない。



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